アサギ椀
京都の街場で日常使いされたという花鳥柄の黒塗り椀「浅葱椀」は、京都ならではの美を体現する、常の器でありました。その精神を受け継ぎ、現代の課題を解決することを目的として、「アサギ椀」は生まれました。
現代の課題―それは一言で言うと、輪を繋ぐこと。
それぞれの専門性を持つ作り手たちが、連携して支え合い、その連携の輪を次の世代へ繋ぐこと。物を丁寧に使うことで、作り手の想いを受け取ることのできる使い手の尊い感性が、次の時代のために育っていくこと。工芸素材と土地の暮らしの循環が、未来に受け継がれること。
故・石川光治氏(木地師・石川漆工房)は、歴史上存在した浅葱椀に着目し、京都で唯一無二のロクロ木地師である西村直木氏(ロクロ木地師)に、京都府内産桧を使用した常の器として、浅葱椀の復興案を持ち込みましたが、石川氏の逝去により、案はひとたび滞留します。
復興案がふたたび動き出したのは、直木氏の美と技の継承を願って西村圭功(塗師・西村圭功漆工房)が弟子たちを直木氏に預けた後でした。弟子たちの技術習得と独り立ちを思うのであれば、棗だけでは習得のためにこなせる数が足りない。そこで直木氏は、かつて石川氏が話していた浅葱椀の存在を思い出します。弟子を想う師のこころに、石川良(塗師・石川漆工房)、堤卓也(漆精製・堤淺吉漆店)らが賛同し、次の時代へ輪を繋ぐ「アサギ椀」のあるべき姿を探求しました。
本展では、写真家・宮下直樹氏による写真・動画作品の展示を中心に、新生「アサギ椀」の姿と物語を発表いたします。
ご来場をこころよりお待ちしております。
「アサギ椀プロジェクト」メンバー一同
文・松山幸子
photo by Naoki Miyashita
info
展示会名称:アサギ椀 ー木地師のこころをつなぐー
日時:2019年2月5日(火)〜19日(火)
時間:11:00〜18:00
場所:The Terminal KYOTO
京都市下京区新町通仏光寺下ル岩戸山町424番地
出展:アサギ椀プロジェクトチーム、宮下直樹
※会期中9日、10日、11日、16日、17日は運営メンバーが在廊いたします。
※宮下直樹の在廊は、9日、17日を予定しています。
Team
「アサギ椀」 プロジェクトチーム
◎発起人
石川光治(故人 石川漆工房)
西村直木(ロクロ木地師)
◎運営メンバー
- 石川良(石川漆工房)
- 堤卓也(堤淺吉漆店)
- 西村圭功・西村洋子(西村圭功漆工房)
◎ロクロ木地師見習い
- 永井綾/上田量啓
◎塗師見習い
- 飯島勇介/後藤久美
◎協力
- 比嘉明子(京都市産業技術研究所)
- 松山幸子(monomo)
- 宮下直樹(Terminal81 Film)
contact: kyoto.asagiwan@gmail.com